経の十結

結とは生命を輪廻転生に結び付けているものという意味です。

仏典は大きく分けて
  • 経・・・ストーリー
  • 律・・・出家者の生活規範をまとめたもの
  • 論・・・要点だけをまとめたもの
の3つがあります。このうち経の中で述べられている十結が経の十結です。この他に論の十結もあります。

経の十結は以下の10になります。
  1. 欲貪の結(自性は貪心所)
  2. 色貪の結(自性は貪心所)
  3. 無色貪の結(自性は貪心所)
  4. 瞋恚の結(自性は瞋心所)
  5. 慢の結(自性は慢心所)
  6. 見の結(自性は見心所)
  7. 習性行の把持の結(自性は見心所)
  8. 疑の結(自性は疑心所)
  9. 掉挙の結(自性は掉挙心所)
  10. 無明の結(自性は痴心所)
自性としては、(貪、瞋、慢、見、疑、掉挙、痴)の7つになります。

五下分結

以上のうち、赤字部分の、欲貪、瞋恚、見、習性行の把持、疑の5つを五下分結と呼びます。その理由は、生命を下界(欲界)に結び付けるもので、五下分結がある限り、生命は欲界に転生します。

五下分結が遮断されていない生命は、仮に上二界(色界、無色界)に生まれ変わったとしても、また欲界に転生する可能性があります。

また、これらのうち見、習性行の把持、疑の3結は預流道で遮断されるもので、この3結を遮断しない限り、離善地からも逃れることができません。

さらに、残りの欲貪、瞋恚は不還道によって遮断されます。

五上分結

また、青字部分の、色貪、無色貪、慢、掉挙、無明の5つを五上分結と呼びます。五上分結は生命を上二界(色界、無色界)に結び付けるものです。

不還果に達すれば、五下分結はもう生じないため、欲界に転生することはありませんが、五上分結が残っているために、上二界(色界、無色界)に転生するわけですね。